本書の内容は,下記のような構成になっている。各章のタイトルを見ただけでも興味を惹かれるのではないだろうか。
・序 『応用細胞補完代替医療学・第2巻』-出版に際して-(猪岡尚志)
・序文(光本泰秀)
・第1章 補完代替医療特論-薬学教育における補完代替医療-(光本泰秀)
・第2章 現代医療における漢方治療の役割(福田一典)
・第3章 補完代替医療としての音楽療法のエビデンス(佐藤正之)
・第4章 植物療法の基礎と臨床(林真一郎)
・第5章 東洋医療と西洋医療を融合するための病態分析法
-医療現場で治療法を選択する際に必要な共通の基本思想-(清野充典)
・第6章 補完代替医療と健康食品(山田靜雄)
・第7章 薬草と科学(小川康)
・第8章 温泉と健康-北海道の温泉に関連した健康づくり-(内野栄治)
・監修者・執筆者紹介
第1章では,当方が学内のアドバンスト教育の一環として開講している「補完代替医療特論」の一部を紹介している。米国が日本に先んじて当該医療を発展させてきた経緯は,米国の補完代替医療に対する取り組みの本気度が伺える。第2章では,漢方医学の成り立ちから,後半では自然治癒力を高める漢方医学的アプローチや治未病に寄与する漢方治療について解説されている。第3章では,現代医療にも取り入れられている音楽療法のエビデンスについて,各論では疾患や症状に対する効果について紹介されている。第4章では,植物療法に関して,メディカルハーブや精油が個別に概説され,後半では植物療法の臨床について紹介されている。第5章では,東洋医療と西洋医療を並列の目で俯瞰することの重要性や,そのことを踏まえた新たな医療体制の構築について解説されている。第6章及び第7章では,それぞれ健康食品や薬草について,補完代替医療における位置づけや最新の情報が提供されている。最後に,第8章では,温泉療法に関して北海道内における実践例が紹介されている。
補完代替医療は,非薬物療法から伝統医学までその領域は広範囲にわたっている。そのため,全貌を見渡せる書物は数少ない。本書物は,当該医療の現状に触れ,理解を深めるうえで役立つに違いない。
1)「応用細胞補完代替医療学(第2巻)-健康を補完代替医療に求めて-」猪岡尚志,光本泰秀監修,太陽書房(2022)
2)「応用細胞補完代替医療学(第1巻)」猪岡尚志,光本泰秀監修,大学教育出版(2012)